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2017/09/24

1030年12月 後

▼十二月 後


その日は大江山のみならず、都にも大雪が降っていた。



是政「こんな日に大雪が降らなくてもいいと思うんですよね」
はるか「ヤな感じですよねー」
春近「まぁ、こんな日もあるよ」
是政「こんな日だからこそ快晴で望みたかったです」
いろは「どうせ大江山には万年雪が積もってるんだ、関係ない」
はるか「いろは様ってたまに鬼みたいなこといいますよね…」

緊張感なく天気に文句をつける是政とはるか。
対して、春近といろははどことなく表情が硬い。


きらら
「ほら、みんな準備できた?忘れ物はない?はるか、裾が乱れてるわよ」

きららが幼いるるを連れて出陣の準備をしている4人の様子を伺いにきた。

春近
「義姉さん、遠足に行くわけではないんですから…。それに具合も優れないのですから寝ていてください」
きらら「何言ってるの!今日は大事な日なんだから、抜かりない様にしないと。呑気に寝てる場合じゃないわ!」
いろは「…呑気に寝ていて頂かないと気が気でなりませんよ」
きらら「そんなことできるわけないでしょ!私だって討伐に参加したいくらいよ!」
春近「いいですから、早く寝室に戻っていて下さい。るるも義姉さんと一緒に大人しく待っているんだよ」
るる「とーたんがんばってきてねー」
春近「うん、とーたんがんばってくるよ。きっと朱点童子を倒して帰ってくるからね」

静かに、しかし、力強く約束した。

娘である、るるにだけでなく家族全員に、必ず帰る、と。

きらら「みんな……お願いね…」
是政「はい!」
はるか「がんばります!」
いろは「待っていて下さい」
春近「では、いってきます」

自分の為、家族の為、因縁に決着をつける為


いざ、朱点童子討伐


イツ花「当主様!ご出陣!!」







































































朱点童子の無惨な姿が横たわり、静寂に包まれた。
春近「みんな無事か!?」
いろは「ええ」
はるか「大丈夫です!」
是政「……終わったんですよね…?」
春近「ああ、これで……」


黄川人「これでようやく物語が始まるね」







朱点童子の腹から生まれ出でた体
嘲笑の顔で春近達を見つめる
何が起きたのか誰なのか
それすらもわからないまま春近達は声を失ってただ見つめるばかり

黄川人
「ボクが誰かわからないって顔をしているね?ボクは黄川人」
黄川人「まぁ、名前なんかどうでもいいか。キミ達もすぐに忘れてしまうだろうからね」
黄川人「そんな事より、これから聞いてもらいたい話があるんだ。聞いてくれるかい?」

声を失ったまま反応がない春近達に対して、黄川人は喋り始めた。
過去に起きた忌まわしい記憶
堕ちた都、殺された一族、過去の皇子


自分がナニモノなのか


黄川人「まぁ、そういう事でボクはこの鬼の中に封印されてたんだ」
黄川人「ん?そう、こいつは頑丈だけが取りえのただの鬼。朱点童子じゃあない」
黄川人「じゃあ、朱点童子はどこにいるって?」
黄川人「そんなの決まってるじゃないか」







黄川人「キミ達の目の前にいるだろう?」

















声を出すよりも先に体が動いていた
いろはは黄川人に真っ直ぐに向かい薙ごうとした
が、いろはの刀が届くことはなかった


黄川人「まぁ、そんなにガッカリしないでよ。この鬼を斃しただけでもそれはすごい事なんだよ」

黄川人の腕がいろはの体を深々と貫いていた。


いろは「ッガァ……ッ」


黄川人「それにこの鬼からボクを出してくれたんだから感謝もしてるんだよ」
黄川人「だからできれば手荒なマネはしたくないんだ。大人しくしてくれれば今は危害を加える気はない」


そう言うといろはの体を無造作に放り投げる
いろはの体は力なく床に転がって動かなくなった

春近
「ね、姉さん!!」

あまりの事に是政は茫然自失としており、はるかは完全に意志喪失で床に座り込んでいた
かろうじて春近はいろはに駆け寄って抱きかかえる

黄川人「さて、その様子だと今までの話は何一つ聞かされてないんだね」
黄川人「哀れなものだね」
黄川人「あれ?そういえば、キミ達の一族はある神様に操を立ててるようだけど」
黄川人「もしかして、その事も何も聞かされていないのかい?」
黄川人「これは驚いたな、あの子は何も話していないんだな。それとも、話せなかったのかな?」




黄川人「キミ達の初代当主が自分の子孫を犠牲にし、騙し続けてでも成し遂げようとしている身勝手な誓いの事を」





黄川人の口からでた言葉が春近の体の血を凍りつかせた

春近「な…なんの……事だ…?」

ようやく出た言葉はそれだけだった


黄川人「それはね……いや、これは無粋だったな」
黄川人「彼が言わなかったって事は隠し通したかったのだろうからね」
黄川人「もし、知りたいのなら本人に聞いてみたらいいんじゃないかな?」
黄川人「キミ達のお母さんに、さ」
黄川人「さて、ボクはもう行くよ。せっかく外に出れたからね」
黄川人「また、会えるのを楽しみにしてるよ」

そういうと黄川人は静かに床に吸い込まれていった。


黄川人「ああ、そうそう。ボクがキミ達にかけた呪いはまだかかったままだから」
黄川人「家に置いてきた家族が死んでいないといいね」


その言葉を最後に今度こそ完全に沈黙が訪れた。












きらら「はる……ち…か…」

「きらら」永眠 享年1歳7ヶ月





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