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2017/12/13

1028年11月~1029年2月

▼十一月

春樹が所有していた『秋葉ノ神殺し』は息子である弥彦に継承された。
 
弥彦が生まれた時にはすでに春樹は一線を退いていた為、その勇姿を見ることはなかった。

しかし、この剣を手にした時、父の戦ってきた姿、先祖の想いを、確かに感じた。
その刀身は幾百の鬼を斬ってきたとは思えない程、美しく輝いていた。

孫六の第1子「あおば」誕生
 
この寒い時期に生まれてきただけあって、冷え性が弱点というあおば。
寒さじゃなくて冷え性が弱点な辺りが細かいですね。たぶん、鬼なんかより手足の冷えが最大の敵に違いありません。
 
あおば「ううぅぅー寒いぃぃー」
つくし「あぁ、ズルイですぅ。あたしもあったまるぅー」
 
火に当たって手足を暖める女子二人。
寒がりすぎの気もするが、冬でも襖を全開にしているこの屋敷もわりとおかしい気がする。
 
みちる「ダメダメ、二人とも!若いんだからもっと外に出て体動かさなきゃ!」
 
そんな二人とは対称的に薄着でバタバタと動いているみちる。
いくらなんでも着物一枚で過ごすには寒すぎる季節だというのに。
 
あおば・つくし「みちる義姉さまは元気過ぎるんですよぉ」
 
 
▼十二月
 
孫六交神
 
孫六が部屋にいるとつくしが部屋に入ってきた。
交神の月に女子がやってきた場合の話題は一つしかない。当然、孫六も父や春樹からその話は聞いていた。
 
つくし「あにさまー、あにさまー」
孫六「次の子は男子だからな。女子じゃないからな」
つくし「えぇー、まだなんにも言ってないよぉ。っていうか、もう決まってるのぉ?」
 
やはり、子供の性別のお願いだった。
しかし、孫六は既に自分の跡継ぎにするべき男子を儲ける事に決めていた為、つくしのお願いはあっさり却下された。
がっかりしながらもなお諦めきれないつくしを自分の部屋に戻してようやく一息ついた。
 
孫六「ふぅ、まったく、ウチの家系の女性は本当に話に聞いた通りだな…」
 
その時、廊下からドタドタしながら部屋に向かってくる人物がいた。
 
 
みちる「まーごーろーくー」
 
 
…孫六は溜め息をつきながら静かに部屋から抜け出した。
 
 
▼一月

この月は孫六・つくし・弥彦・あおばが出陣しました。
4人とも、髪色、目色、肌色が一緒です。いやー、家族ですね。
まぁ、みんな素質が似たようなものなので当然といえば当然なのですが。
 

 
はてさて、明香里みちるが揃ってお留守番です。
 
 
みちるはともかく、明香里は体力が落ちてきた為、体を動かすのも億劫になってきていた。
 
みちる「お姉お姉ー、見て見てー雪がすごい積もってるよー」
明香里「そんな薄着でいると風邪ひくよ。本当にあんたも元気ね」
みちる「へへへ、ウチは元気だけが取り柄だからね」
 
そう言ってる間にも庭に積もった雪をせっせと丸めて雪だるまを作ろうとしていた。
そんなみちるの姿を明香里は布団に入りながら眺めていた。
 
明香里(兄さんも逝って、私ももう体力が落ちてきていつ倒れても不思議じゃない。きっとみちるも…)
 
元気に遊びまわってるみちるも明香里と二ヶ月しか離れていないので、明香里が倒れればみちるもそう遠くない日に倒れることになる。
 
明香里「…私が死んだら寂しくなるね」ボソッ
みちる「ん?なーにー?」
明香里「ううん、なんでもない。それより、こうやって二人でのんびり家で過ごすのも悪くないね」
みちる「そうだねー、ずっと討伐に行ってたからねー」
 
みちるでも、ずっとお姉と一緒だったから楽しかったよ
 
みちるの笑顔は純粋無垢で底抜けの明るさを放っていた。
どれだけの鬼を斬ったか、どれだけの血を浴びたか。しかし、その心は穢れることを知らなかった。
 
明香里「本当にあんたは…でも、うん、私もみちると一緒にいれて楽しかったよ」
 
それは紛れもない本音だった。
たとえ、そこが地獄であったとしてもみちると一緒だったからがんばれた。
大好きな妹と一緒だったから楽しかった。
 
 
このまま、この時間が過ぎなければいい
 
このまま、呪いなんてなかったことになればいい
 
 
 
しかし、現実は
 
 
▼二月

孫六の第2子「時定」誕生
 
座右の銘が「礼節」なんて、久しぶりにまともな考えを持った子が生まれたかもしれない。
ここ最近の子達は、変な特技とか妙な考えを持った子が多かったから常識的な子は大歓迎ですとも!

それよりも、イツ花は人様の子供のお尻をマジマジと観察するんじゃない!
ていうか、なにをお尻について熱く語ってるんだ!
 

「えへへ、私もお尻には目がないんですよね」

(´・ω・`)ええい、引っ込めこのボケ神様






明香里が亡くなったのはその月の中ごろだった。

先月から体調が優れなかった明香里の様態が急変したのは月の始まりのこと。
そのまま回復には至らず、二度と目を覚ますことはなかった。


その時家にいたのはイツ花、みちる、時定の三人だった。
しかし、三人が明香里の異変に気付いた時にはすでに息絶えており、死に目に立ち会えたものは誰一人いなかった。

最後の時を一人で静かに迎えた明香里はいったい何を思ったのか。



孫六「みちる様、ここにいたんですか」

みちるがいたのは秋葉家先祖代々の墓だった。
墓といっても庭の隅に小さく石が重ねてあるような粗末なものであったが。
墓の前でしゃがんでじっと考え事をしているようだった。

みちる「…」
孫六「今日は寒いです。ここにいたら体に障りますよ」
みちる「…」
孫六「みちる様…」
みちる「…あのね、お姉があの日ウチに言ってたんだ」




明香里「みちる、もし、あたしが死んでも悲しまないでね」
みちる「はぁ?そんなの無理に決まってるじゃん!お姉が死んだらウチどうしたらいいかわかんないよ」
明香里「年長のあんたが悲しんでたら、みんなも暗くなっちゃうんだよ」
みちる「でも、お姉がいなくなったら寂しいよ」

明香里「そしたら『楽しい』って言ってみなさい。そうしたら悲しみも消えちゃうから」


みちる「ええー、なにそれー」
明香里「いいから、一日一回楽しいって言えばきっと悲しさなんか吹っ飛んじゃうから」
みちる「ふふっ、まぁ、こうやってお姉と話してるのがやっぱり一番楽しいけどね」
明香里「はいはい、向こうで時定の相手してきなさい。あたしはちょっと横になるから」
みちる「はーい」




みちる「結局それが、お姉と最後の会話になっちゃったんだけどね」
孫六「明香里様は亡くなった後の事まで考えていたんですね」
みちる「なんていうか、ウチがお姉にベッタリだったから心配だったんだと思う。よいしょ」

みちるは立ち上がり大きく伸びをして、大きく息を吐いた。

みちる「なんていうか、結局、なんであの日一人で逝っちゃったのかわからないんだけどね。ウチらを呼べなかったわけじゃないし、そんなに体調が悪そうなそぶりもなかったんだ」

みちる「お姉も最後は一人になりたかったのかな。わかんないや」
孫六「それでも、明香里様はみちる様に見守られたかったんじゃないですか?」
みちる「そうかもね。さっ、中に入ろうか。今日は好物のカボチャだよー!楽しい!」

二人はいそいそと家の中に入っていった。




明香里「ごめんね、みちる……でも、苦しんでるこんな姿…あんたに見せたくないから…」

明香里「一緒にいられて…本当に楽しかった…よ」

兄を愛し、妹を愛した。そして、家族を愛した人生は過酷なだけではなかった。



「明香里」永眠 享年1歳7ヶ月
 

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