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2017/12/13

百目鬼家 青嵐記 之弐

1018年4月

春になり、百目鬼家の庭の桜も咲き始めた季節。
百目鬼家の屋敷では、あすか達がこれからに向けて話をしていた。


イツ花「早速ですが当主様、討伐の為に出撃なさっては如何でしょうか」
あすか「確か、朱点童子は大江山に住んでいるのよね」
イツ花「はい。ですが、現在大江山は11月と12月以外は立ち入りを禁じられており、近づくことも叶いません」
あすか「まぁ、まだ戦い方もおぼつかない様な私達が、今すぐに朱点童子に立ち向かって倒せるとは思えないわね」
「私達はまず、朱点童子を討伐する為に力を付けなければいけないと思います」
あすか「そうね、少なくとも12月までにそれだけの力を付けられなければ朱点童子を倒そうなんて・・・」
イツ花「そして、当主様と亨様には子を成していただかなければなりません」

あすか「私達が子供を?なんで?」

イツ花「当主様は御自身にかけられている呪いを覚えておいでですか?」
あすか「えっと、確か『種絶の呪い』と『短命の呪い』だっけ?」
イツ花「はい、『種絶の呪い』と『短命の呪い』はその名の通り、人と交わりを持って子を成せず、寿命が短くなるという呪いです」
あすか「うん、それは知ってる。だから、私は神様と交わって亨を生んだし、この先長くないって言うのも知ってる」
イツ花「では、当主様は御自身がどのくらい生きられると御思いでいらっしゃいますか?」
あすか「え?そ、それは・・・」

イツ花「大変申し上げ難いのですが、当主様は恐らく長くても2年生きられないと思われます」
あすか「・・・え?」

そのイツ花の言葉はあすかにとって到底信じられる話ではなかった。
そして、その後に続く言葉はあすかのみならず百目鬼家にとっても聞き捨てならない話だった。


イツ花「そして、その呪いは亨様はもちろん、子孫代々にも呪いが引き継がれていきます」
あすか「そ、そんな!亨にも呪いがかかっているっていうの!?」
イツ花「はい、当主様と亨様の額に埋められた宝珠。それが呪いを受け継いでいるという何よりの証左です」
「この額の宝珠が・・・?」
あすか「・・・」

イツ花「ですから、当主様には子を成していただき、御子様たt」
あすか「だから、私が受けた呪いを子供達にも背負わせて子供達にも苦しめっていうの!?」

イツ花「い、いえ!ですから・・」
あすか「朱点童子を倒すために子供達を生んで、子供達を危険な目に合わせて自分を救わなければいけないっていうの!?」
イツ花「わ、わたしは・・そんな・・・」

「母さん!!もうやめて下さい!!!」

亨の言葉であすかはようやく我に返った。
気がついて目の前を見れば、泣きそうな顔をして怯えているイツ花がいた。


あすか「・・・あ・・・私・・・イツ花・・・」
イツ花「ひゃうっ!」
あすか「・・・!」

わかっていたのだ。もう仕方がない事なのだ。
自分達がもはや普通の人間でない事。もはや後戻りが許されない体、運命である事。
しかし、たとえわかっていても、気持ちすらも仕方ないと諦める事などできるほど老いてすらもいなかった。


「母さん、準備をして下さい。出撃しましょう」
あすか「・・・・・・」
「イツ花、出撃してきます。留守を頼みました」
イツ花「は、はい・・・お気を付けて・・・御武運を・・・」
「うん、いってきます」


亨とあすかの向かった先は相翼院という、河の中に島に立てられた古い寺院だった。
小さな島同士を橋で渡らせて、奥の相翼院へと向かっていく。


「・・・呪いの事はイツ花に聞かされる前から薄々わかっていました」
あすか「・・・」
「母さんの額にある宝珠が自分の額にもありますし、それに・・・親子ですからね」
あすか「・・・亨は私の事を・・・恨んでないの?」
「まさか。産んでくれたことを感謝こそすれ、恨むなんてあり得ません」
あすか「・・・だって私なんかから産まれさえしなければ・・・こんな・・・」

「母さん、それ以上言わないでください!母さんからそんな言葉は聞きたくありません!」

あすか「だって私が・・・!」
「母さんが私を産んでくれました。だから、私はここにいます。母さんが産んでくれなければ、それは私じゃないんです」
「私にとって母親は母さん一人なんです。だから、母さんの子でいられることに私は感謝をしています」
あすか「・・・」
「それに呪いを受けたのは母さんの責任ではないんです。恨むべきは朱点童子です。朱点童子さえ倒せば呪いが解けます」
あすか「・・・」
「ですが、母さんが百目鬼家当主です。母さんが止めたいと言うのであれば私もそれに従います。残りの短い人生を一緒に過ごしましょう」

あすか「・・・・・・自分の子供に説教されたんじゃ世話ないわね。当主失格だわ」
「いえ、母さんは立派な当主だと思います」

自分一人ではこの過酷な運命に立ち向かえなかっただろう。
この子が、亨がいてくれて本当によかった。自慢すべき息子だ。


あすか「イツ花にはひどい事を言ってしまったわ。八つ当たりもいいところ。本当に最低ね」
「帰ったらイツ花に謝りましょう。私も一緒に謝ります」
あすか「いいわよ、私一人で謝るから。あんまり母親を馬鹿にしないでよね」
「ははは、すみません」

二人は相翼院での討伐を終えて屋敷へ帰ってきた。

あすか「イツ花、ただいま!」
イツ花「わ、あ、当主様お帰りなさいませ!お怪我はありませんでしたか?」
あすか「うん、大丈夫!それからね・・・」

イツ花「あの、当主様!」
あすか「あのね、イツ花!ごめんなさい!」

イツ花「ふぇ?」

あすか「朝、イツ花に八つ当たりしてひどいこと言っちゃって。イツ花は何も悪くないのにイツ花に怒りをぶつけちゃって・・・。それを謝りたいの」
イツ花「そそそそんな、当主様に謝っていただくなんて!!私こそ、当主様に不躾にあんな事を言ってしまって・・・謝るのはわたしの方です」
あすか「ううん、謝るのは私の方!だって、イツ花はこの家の為に、私の為に言ってくれたんだもん!」
イツ花「そんな、滅相もありません!出すぎた事だと反省しました」

「はいはい、二人とも。討伐から帰ってきて疲れてるんだから、後にしてご飯食べよう」

あすか「・・・ッフ」
イツ花「・・・ップ」

途端に二人から笑いが漏れた。

あすか「うん、イツ花、ご飯にしよう」
イツ花「はい!腕によりをかけてお作りいたします!」


呪いを受けて生き、朱点童子を討伐する
まことに過酷な運命を背負った百目鬼家
しかしながら、あすかは今この時より、自分の置かれた運命と戦う決心した
血を分けた実の子供、そして、イツ花がいてくれる
このことは何よりあすかに力を与えてくれた


願わくばこの子達と長くいられることを祈って

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