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- Newer : 百目鬼家 青嵐記 之弐
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おぼろげに記憶があるのは朱い鬼と叫ぶ母の声。
次に記憶があるのは夢の中で聞こえる女の声。
『あなたは朱点童子により二つの呪いをかけられました』
『短命の呪いと種絶の呪い』
『この呪いを解く為に神と交わり朱点童子を打倒するのです』
朱点童子?呪い?何の話?
『さぁ、まずはあなたが神と交わり、子を成すのです』
じゃあ、この殿方にお願い致します。
『この神で良いのですね?』
私の好みです。
『・・・・・・・・・』
『では、生まれたあなたの子に名前を付けてあげてください』
もう生まれたんだ・・・。実感ないけどお母さんになっちゃったのか。
この子には・・・
亨(あきら)「母さん?どうしたんですか?」
あすか「ああ、ごめんなさい、ちょっと以前の事を思い出してたの」
亨「以前のこと?」
あすか「ええ、あなたが生まれる以前の事。私があなたを産んだ時の事よ」
亨「母さんが神と交わって私を産んでくれた時ですか」
あすか「そう、あなたのお父様はとても凛々しい神様だったわ」
亨「父さん・・・。父さんはどんな方だったんですか?」
あすか「それがね、私もよくわからないの・・・。あなたが生まれた時は私も小さかったから」
亨「そうなんですか・・・・あ、屋敷に着きましたよ」
二人は荒れた京の街通りを抜け、これからあすかの亡き両親、源太とお輪の住んでいた屋敷に向かっていた。
ここには源太とお輪と小さかったあすかの三人が住んでいたが、今はあすかと息子の亨の二人になってしまった。
いや、二人だけではなかった。
イツ花「わたし、イツ花と申します!本日から百目鬼家のお世話をさせていただきます!」
屋敷には、既に着いて掃除をしていたイツ花がいた。
これから百目鬼家の家事や雑務を一手に担ってこなしてくれる実に頼もしい女の子だ。
あすか「これから宜しくね、イツ花」
イツ花「はい、当主様!よろしくお願いします!」
あすか「え?当主様?」
イツ花「はい、朱点童子を倒す為に、百目鬼家を率いていただく百目鬼家当主様です」
あすか「私が?」
イツ花「もちろん」
あすか「そんな、いきなり当主って言われても・・・何をしたらいいのかわからないんだけど」
イツ花「ご安心下さい!不肖ながら、わたしが当主とはなんたるかをお教えさせていただきます!」
あすか「あ、ありがとう・・・。お手柔らかにね・・・」
亨「しかし、広い屋敷ですね。ここにお祖父様とお祖母様と母さんが住んでいたんですね」
あすか「私は住んでいたって言っても赤ん坊の頃だけどね。ほとんど記憶なんかないわ」
イツ花「当主様のお父様である源太様は、朱点童子討伐に向われるほど腕が御立ちになる方でした。その為、帝からの信任も厚く、この屋敷もその腕を買われ与えられたものと御聞きしています」
あすか「そうなんだ。恥ずかしいけど、私、お父様の事何も知らないのよね」
亨「私もお祖父様とお祖母様の事は気になります」
イツ花「私も源太様とお輪様の事に関しては表向きの事しか存じ上げておらず、朱点童子討伐に向われ、討ち死にされたとしか・・・」
あすか「・・・・・・」
亨「・・・・・・」
イツ花「あ!・・・当主様のお気持ちを考えず申し訳ありません」
あすか「いいの、イツ花。事実、お父様とお母様は朱点童子に挑み、死んだわ」
あすか「そして、私達は呪いをかけられて今ここにいるのだから」
イツ花「・・・・・・」
あすか「それよりもイツ花、私の事を『当主様』って呼ぶのはどうにかならない?」
イツ花「ほぇ?当主様がどうかなさいましたか?」
あすか「『当主様』なんて硬っ苦しい言い方されると落ち着かないから、せめて家では『あすか』って呼んでくれない?」
イツ花「ええぇぇ??そんな当主様のお名前を軽々しく呼ぶだなんて」
あすか「いいから!今度、私を当主様って呼んだら罰として私の好物を作らせるわよ!」
イツ花「ええぇぇ?ええぇ?」
亨「二人とも何をそんなことで言い争っているんですか」
かつて源太とお輪という夫婦がいた
源太は京の都一の剣の腕を持って、妻お輪と共に朱点童子を討伐に向った
大江山に登り、朱点閣へと進み朱点童子に対峙するまでに至った
が、源太は朱点童子に殺され、お輪の行方はとうとうしれなかった
それと同時期に屋敷に一人残された子供は、忽然と姿を消した
そして、その子供は次の年の春にまた京の都に帰ってきた
朱点童子をその手で討伐する為に
百目鬼家の何代にも渡る血に塗れた記録が今始まった。
次 弐
2012/01/09 俺の屍を越えてゆけ Trackback() Comment(0)
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